Noma

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「虹を渡りたいだって?」
淳は一瞬おどろいた顔をすると
「無理に決まってんだろ。バーカ。あれは水滴のスクリーンに光が当たってるだけだ」
私と同じ6才なのに、淳は物知りだ
淳の言葉の意味がわからなかった私は「バカ」だけ聞き取った
そして数秒後にバカにされたことに気が付き、腹がたった
「もし渡りたいんだったら、肉体を捨てて、自由意志で動ける、水滴か光の粒子になれば渡れるかもな」
「何言ってんのかわかんないよ!じゃあ渡れる虹を淳が発明してよ!」
「無茶言うなよ…」
「発明して!発明して!ねぇ!」
私が泣きじゃくると、淳は困った顔をした
「例え渡れたとしても、雨の中みたいなものだから、ビショビショになるよ?嫌でしょ?風邪ひいちゃうの」
淳は私にもわかるような言葉で宥めてくれる
私は淳のこういう所が好きだった
「だからほら」
淳が前方を指差す
「虹は見る方が絶対いいよ」
虹の架け橋が二人を包むように大きなアーチを描いていた

9/22/2025, 9:09:40 AM