「俺は身体が丈夫なのが取り柄やからな」
そんなことを言っていた男が今、高熱で寝込んでいる。
元より薬が効きにくい体質とは聞いていたが、解熱剤もあまり効かず体温計は40度を示している。
水分はしっかり摂っているが、ほとんどが汗となっているようで、それなのに解熱しない。
眠りに逃避できれば回復も早いだろうに、節々の痛みで眠るのもしんどいようで。
意識がしっかりしているのが安心と言えば安心だが、そのせいで節々の痛みや苦しみからも逃れられず。
見守ることしかできない自分が歯痒い。
解熱鎮痛剤が効かないとなると、やはり再度病院に連れて行った方がいい気がする。そう伝えると「そうやな、そうする」と。
いつも太陽のように明るく笑うこの男の弱々しい姿に動揺する。
病院に連れて行き、解熱剤は未だ効かないが眠剤によって深く眠る男を見て、早く治ってくれ、と月並みな言葉しか浮かばない自分に辟易する。
窓から見える沈む夕日が、男の体力に比例しているような気がしてしまい、その考えを慌てて払拭する。
新しい太陽が昇る頃には、状況がよくなっていることを強く願った。
【お題:沈む夕日】
4/8/2024, 3:34:42 AM