雷鳥໒꒱·̩͙. ゚

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―遠い日の記憶―

なにか強いショックを受けたときとか
周りとの差を思い知らされたときとか
悲しいことに打ちのめされたときとか
嫌なことを全力で逃避してるときとか
そんな負の感情が渦巻くときにだけ
耳元で囁かれる声
それは脳裏で蘇る、遠い日の記憶

私が寝室に向かう途中の薄暗い廊下
その先に立ち、こちらを振り返る父の姿
正体は何なのか判別が出来ないその人影が
もしかしたら父でなかったかも
しれないそれが
もしかしたらただの幻だったかも
しれないそれが
私をひしゃげてしまう程の圧で
低く冷たい声で、ただ一言
「卑怯者」


私が壊れかけているときに限って
ひとりきりで蹲る、陰気に満ちた夜に限って
あの薄闇の中で唯一はっきりと見えた、
感情全てを失ったかのようなあの冷徹な瞳が
父の居ないはずの空間に幻として現れて
あの心の中心から凍てつくようなあの声が
耳元で木霊して
私を震わせる
あの鳥肌の感覚は肌から消えない
あの情景も頭にずっと残っている
あの凍える声も耳から離れない

この記憶が蘇るとき、
私はこの上なくドロドロと濃い、
絶望の色を見る

7/17/2023, 2:43:00 PM