腹有詩書氣自華

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焚き火がぱちりと弾ける。
 燃え尽きた薪が灰となり、ふわりと、さんらりと、
風に溶けていく。

終わったな、と思う。
燃えつくしてしまったものは、もう戻らない。
けれど、その熱は確かに残っている。
指先に、心に、静かに余韻を残して。

ふと、灰の中から小さな赤い光がのぞいた。
炎は消えたと思っていたのに、まだそこには、小さな命がくすぶっていた。

 終わりは、本当に終わりなのだろうか?
 
まるで、花の蕾のようだと思った。
風に散り、土へ還った花々が、季節を巡り、
やがて新たな命を宿すように。芽吹くものがあるように。
燃え尽きたように見えても、まだどこかに新しい火種はあるのかもしれない。

 ならば、もう一度。

静かに息を吹きかける。
終わりの先にある、また新しい初まりを迎えるために。

──────題. 終わり、また初まる、────

3/12/2025, 10:31:50 AM