わをん

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『この世界は』

眼下に荒れる海と尖った岩の群れが見える。吹き付ける風は強く、寒さで耳が千切れそうだ。
小さな頃からあまり恵まれず、大人になっても貧しくひもじかった。世界はずっとクソみたいだと思っていた。世の中に恨みつらみをたくさん吐いたが世界は変わらず、そのぶん自分が濁るだけだった。
曇天から一筋差した光が海へと届いて輝いている。とても美しかった。この世界は鏡のようなものかもしれない。見る人が美しいと思っていれば美しく映り、クソみたいだと思っていれば汚らしく映る。もっと早くに気がついていれば良かった。もうどこからやり直せばいいのかわからない。

1/16/2024, 6:12:18 AM