街の明かり
きらびやかな夜の街を歩く。日中の陽射しよりもジリジリと焦げる身体のどこかを庇いながら。足元に落ちた自分の小さな影。それだけを頼りに、ふらりふらりと駅を目指す。
外からは誘蛾灯のように明るく見えた駅は、中に入るといつも仄暗い。電車の中はそれよりもっと明るいはずなのに、より暗く感じるのはなぜだろう。
幽霊のように映る吊り革を掴んだ像の向こう側に、歩いてきた街が見えた。車窓を流れゆく街の明かり。あの目眩く光の雨は、思いの外まばらだった。まるで万華鏡の中に入っていた安いビーズのようだった。
2024/07/08
7/8/2024, 1:08:18 PM