灰燼

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この長く続く雨が、俺の罪を、全て洗い流してくれる。
はじめはそんなくだらないことを、期待してたんだっけな。

「なぁ。もう、落ちなくなっちまったよ。」

そう、数分前まで同じ形をしていた“それ”に言葉を投げた。自分の手を眺め、そして、骨の髄まで真っ黒になってしまった自分の手を強く、強く握りしめ、何かに耐えるように立ち竦んだ。

紅く染まった水たまりに映る自分の姿が、段々と化け物のような姿形に変わってゆく。

俺がすっかり変わってしまったことを思い知らせてくるこの時季が、俺は、心の底から憎らしい。

6/1/2024, 12:46:43 PM