あの日の景色」
エンジンをかける瞬間は無機的で構わない、
重心の移動から脚が先行する。
足裏が重心の移動を補償すれば、後は宙に身体を乗り出して虚空に預ける。
途切れる間も無く次の脚は滑らかに…ポンプを使って無理やりに押し出せば良い。
最初の駆動は物理的な運動であり、先行投資であり、成果の是非を問わない無償のエネルギーの供与である。<祈り>とも呼ばれる。
それを数度繰り返すうちに慣性がグリースになって幾分か運動を滑らかにする。
それを繰り返し続ける。
<祈り>と、時に呼ばれることもある。
エネルギーの燃焼、発散、回転するエンジン。自らがエンジンの一部であることを意識しながら
やがて意識すら透明になる頃に
精神の駆動は既に始まっている
もしそうでないならば、それは「そうでない」ということに過ぎないのだ。
蹲り眼を閉じて休み憩い、虚数を溜め続ける。
若しも君の指が動くと感じる時が来たならば
踏み出す時は常に肉体の駆動であることを覚えていれば、次のカードを繰るのは容易い。
崖の先に身を乗り出すことに躊躇いはないか?
足裏を信用しろ。
7/8/2025, 1:35:55 PM