【透明】
朝、大嫌いな学校に行く
教室に着くと
中からはがやがやとみんなの声が聞こえてくる
教室の入り口に立って
勇気を出し「おはよう」と大きな声で言う
けれどみんなは僕をチラッと見るだけで
自分たちの話題に戻っていく
一瞬僕を見た目は冷たかった
いつものことだ
休み時間にトイレに行って
席に戻ってきたら
持ってきたはずの教科書が無くなっていた
仕方がないので
隣の席の男子に見せてくれるよう頼んだけれど
僕の声など聞こえていないかのように
他のクラスメイトと話を始めた
昼休み
僕が独りで弁当を食べていると
みんなの楽しそうな声が周りから聞こえてくる
一人の男子が丸めたゴミを投げて遊び始め
途中で僕に当たっても
拾い上げて何事もなかったかのように
遊びを再開する
当たり前のように独りで帰宅する
母さんに「お帰り」と言われて
僕は透明じゃなかったんだ、ちゃんとここに居るんだって
安心しながらも本当に悲しくて
自分の部屋に逃げ込んだ
5/21/2024, 2:16:20 PM