秋月

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「ここはライブラリー。本や書籍、物語と名のつくものなら古今東西何もかも、その全てが納められている場所さ」
「さぁ、君は何を探しに来たんだい?」

「うん? ここにはどんな物語もあるのかって? もちろん! 童話、エッセイ、ノンフィクション、ファンタジーにSFだって、ありとあらゆるものを取り揃えているとも」
「ふむ、恋の物語が読みたいと。もちろんそれも、子供の初恋から思春期の甘酸っぱい恋、大人のドロドロした恋だってある。では、恋の書籍コーナーに案内しよう」



「ここら一帯が恋の書籍コーナーさ。本棚が赤いものだよ」
「どんな本も好きに読んでくれて構わないが、他のコーナーに移動したいときは声をかけてくれ。ここはとても広いからね、迷子になってしまうかもしれない」
「さぁ、近くに机と椅子もあるから、心行くまで楽しんでね」





「そろそろ……おや? あれだけ言ったのに、一人でどこかへ行ってしまったようだね」
「ここにはありとあらゆる本が揃っている。もちろん、魔導書と呼ばれるようなものも」
「だから、僕みたいな案内人と一緒でないと危険なのだけど……」
「まぁ、どこかへ行ってしまったのは仕方がない。それよりも、どこまで行ってしまったのかが問題だね」



「ここかな?」
「そっちかも」
「こんなところにいたりして?」

「うーん……。近くのコーナーは全部探したのだけど、どこにも見当たらないな?」
「ならきっと、呼ばれてしまったのだろうね」



「あぁ、やっぱり」
「本の旅は楽しかったかな? きっと、知りたかったこと、探していたもの、見たかった夢が見られたと思う。さて、君のタイトルは何て言うんだい?」

「『恋に恋する少女の偶像』か、想像でしかないけれど大変なこともあったのだろうね。ここでゆっくりと休むといいよ」

5/19/2023, 3:39:03 AM