天気がいい日は不思議と身体が軽い。
何処にだって飛んでいけそうな気分になる。
窓の外から眺める景色は、いつも変わり映えのないもので、柱の木目を数えるのにもそろそろ飽きた。
此処から飛び出したいといつも思っていた。
いつものように窓枠の木目を数えていた時、ソレは目の前に現れた。「遊ぼうよ」と僕を誘うソレは子供のような見た目をしている。「何処からきたの?」と聞いても、「遊ぼうよ」しか返ってこない。気味が悪くなった僕は無視をすることにした。見えないふりをすれば、勝手にいなくなってくれるだろうと。
しかし、ソレは毎日僕の前に現れた。「遊ぼうよ」と言い、僕を見上げる。期待に満ちた眼差しが痛い。
毎日決まった時間に現れるソレに、僕は段々と興味が湧いてきた。
今日もいつもと同じ時間にソレが現れた。
「遊ぼうよ」
にこにこと笑いながら僕を見上げる。
僕は初めてソレに触れた。存在を確かめるように、頭を撫で、頬を触り、手を握る。僕の手の中にすっぽりと収まってしまう小さな手に、なんとも言えない高揚感が湧いてくる。
「なにをしようか」
4/24/2025, 10:01:02 AM