入木

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珈琲とトーストの焼ける匂いで目覚める朝、
開いたカーテンからは春の陽射しと柔らかい風。
リビングからは人の気配、
私は彼女が朝の支度をしているのだと足音で察して、
起き上がろうとするが、鈍重な頭に暖かさは心地よく。
私はまどろみに身を任せて、夢に帰ろうとする。
ドアを開ける音がする、起こす声がする。
起きようかと思えども、頭は重く、声が遠くなっていく。

瞼を開ける。
暗がりの部屋は夜を示して。
冬の夜は冷たさを貼り付けたように冷たい。
足音は聞こえず、静寂が支配していて、
心臓の音が小さく響いた。
私はまどろみに身を任せて、夢に帰ろうとする。
鈍重なはずの頭は嫌に冴えて、それを拒んだ。

#こんな夢を見た

1/23/2023, 10:40:06 AM