春ノ花

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色とりどり

音楽では生きられない。そんなことを考えていた

僕は展示会へと足を運んだ
さまざまな展示品が立ち並ぶ中、僕にとって一際目立って見えたのはそれだった

【自分】
人は孤独を愛する。しかし孤独を嫌う。
誰もが一度は思ったことがあると思う。
何者かになりたいと。
自分勝手とも錯覚してしまうその感情は自分本来の正常な反応
この世の中は人が多すぎる。関わりが無限に広がる。
そんな大勢のなかにいれば誰しもがそこから出たくなる
自分が横並びで、埋もれていることに嫌悪を抱くのは当たり前なのだ
そしてその横並びから出た時、人は孤独となる
やっと唯一無二の頂点となったのに。いや、唯一無二になったからこそ孤独なのだ
そしてその孤独を嫌うのも同じ人間
この矛盾こそが人間の美しいところ
そこの狭間で思い悩む
そんな君を見ていると、私は胸が苦しくなる
だから最後に一言
「君を愛している人がここにいます」

この説明文と共に飾られていた絵には、ピアノを弾く少年の後ろ姿が描かれていた
どこか思い悩むように頭を抱える少年

僕は、ここにはもういない彼女を奏でる

1/9/2026, 5:00:11 AM