そら。

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この道の先に

ピッピッ
カタカタ
「お電話ありがとうございます。〇〇株式会社の△△です。」
クーラーが効くオフィスで今日も仕事をする
仕事はそこそこ楽しい。
嫌なことももちろんあるけど、毎日少しずつ成長できている気がする。

でも、
深夜に電車から降りてあるって帰る時、ふと思う。
この先になにがあるのだろう、、、と。
私はこの先も同じ日々なのだろうかと。

しんどいことだけじゃなくて幸せなこともあるかもしれないと思うけど、心がすり減っていくんじゃないかって。

次の休みの日。
私は恋人と電車で1時間、海のみえるとある町にきた。
10年以上前の震災から復興した町だ。

駅から30分あるって、右の道の奥に森の中に階段があった。長い長い階段だ。

「なんか、懐かしい。行ってみる?」

ピーピー鳥の音。
ガサガサ、葉っぱの音。
すーっと顔を伝う汗。
はあはあ私たちの声。

15段くらいの階段が4つ分あるそれは、体力が落ちていた私たちには、結構くるものだった。

「登りきれるかな?」
「引き返す?」

見上げると、
緑色の葉っぱと上に広がる青い空、もくもくの雲。

もうちょっとで届きそう。

「でも、登り切ったら何か見えるかもしれない」

ぜーぜー
コツコツ

あ、頂上だ。

木が茂っているじゃりとコンクリートの道がそこにはあった。下には公園と家が広がる「だけ」

「だけ」

私は何を期待していたんだろう。

登った先で海が見えること?
それとも達成感?

隣には、
「登ってきたね、これじゃあ明日筋肉痛だよ」
と笑顔の恋人。

目線の先には神社。

「この神様はなにをまつっているんだろう?」

たとえ、
上に登ったとしてもなにもないのかもしれない。
けれど登ったことで見れた笑顔と神社への好奇心がある。

そしてなにより、
夏の景色とこの先にいくワクワク感を感じられた。

もしかして、
人生もそうなのかもしれない。

「この道の先に」

そう思うことが、人が生きることなのかもしれない。




7/3/2023, 11:47:59 AM