霜月 朔(創作)

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酸素


私はずっと闇の中にいました。
残酷な人間に、
傷付けられ、捨てられ。
そして、忘れられ。
一人きりで生きてきました。

そんな私を見つけてくれた、
私に手を差し伸べてくれた、
貴方は、私の光。
私の全てとなったのです。

きっと。
貴方は酸素。
いずれ貴方は、
自身を燃やし尽くし、
消えてしまうでしょう。

そして。
私にとって、貴方は酸素。
貴方が居なければ、
苦しんで、苦しんで、
死んでしまうのです。

だから。
貴方を私のものにします。
誰にも奪われないように。
私だけのものにする為に。
そして…。
貴方が、貴方自身を、
燃やし尽くしてしまわないように。

ほら。
貴方から流れ出る命は、
こんなにも鮮やかな赤。
酸素を運搬する赤血球の朱色。
酸素を燃やす燃える炎の紅色。
…貴方の生命の赤色。

それは…。
全て私のもの。
私だけの貴方。

そして。
私は貴方のもの。
だから、
私も貴方の元へ……。

だって。
貴方が傍に居なければ、
私は苦しくて、
死んでしまうのですから。

5/15/2025, 8:18:58 AM