花はすぐ枯れるけれど、造花なら枯れないから。 そう思って真夏の墓参の時、花器には蓮の造花を供えた。 枯れて腐って異臭を放っては、故人もさぞや不快だろう、そう良かれと思ってしたことだった。 秋の彼岸を迎え、今度は生花を持って墓地を訪れた私の目に入ってきた物は、風雨にさらされ色褪せみすぼらしくなった造花だった。 故人のためと思っていたのに、これじゃあ本末転倒だ。 永遠の花束なんてないんだ。 そう思い知らされた瞬間だった。
2/4/2025, 6:16:06 PM