【お題:紅茶の香り 20241027】
テレビの画面越しに見るだけだった原宿の竹下通り、その入口程近くにあるジャズダンス教室。
高校の同級生に誘われて、体験で1回参加して通うことを決めた。
週に1回、数時間だけの私の非現実的な時間。
教室に通う生徒の殆どは舞台俳優や声優を目指している人達で、会社員として働いている人はいなかった。
でも、先生も皆も異色の私に対して、とても親切にしてくれた。
同級生はそのうちダンスには来なくなってしまったけれど、私は通い続けた。
体を動かすのが楽しい、というのもあったけれど、そこで友達が出来たから。
ダンスで体を動かして、着替えて原宿の街に繰り出す。
その時、年下の友達に連れて行ってもらったのが、紅茶専門店『CHRISTIE』だった。
ダンス教室に程近く、それでいて周囲の喧騒から隔離された空間。
店の入口の扉を開けると、紅茶の香りがふわっと漂ってくる。
少し暗めの照明で照らされる店内は、落ち着いた雰囲気のインテリアと音楽で満たされていた。
初めての時は、リーフ入りのポットで提供される紅茶に、胸が高鳴っていたのを覚えている。
私が本格的な紅茶に初めて触れた瞬間だった。
ほぼ毎週、ダンスの後に通い紅茶と食事のセットを頼んで、他愛もない話をする。
私のお気に入りは、たっぷりのチーズにママレードが乗ったトーストのセット。
今でも時折真似て作ってみたりする。
そして一番好きだったのはローストビーフのサンドイッチ。
お値段的に毎回食べる事は出来なかったけれど、今でもふとした時に食べたくなる。
楽しい時間は長くは続かなくて、友達は結婚したり、音信不通になったり。
私は遠くに引っ越して、引っ越し先で似たような店がないか探し回ったけれど、結局みつからなかった。
ティーバッグで入れた紅茶をカップで提供するか、ティープレスでの提供だったり。
一度ポットで提供され内心拍手喝采で喜んでみたものの、リーフが入っておらずガッカリということもあった。
今では更に引っ越し、地方の人口流出に歯止めのきかない寂れた街にいる。
紅茶専門店などお洒落なお店があるはずもなく、日々自分で入れた紅茶を飲む毎日。
ただ昔と違い、ネットでポチッとすれば、色々な茶葉を手にすることが出来るので、科学の進歩?には感謝している。
珈琲に拘るお店は多いのになぁ、と日々悲しく思うけれど、まぁ、それはそれ。
可能ならもう一度あのお店でゆったりとした時間を過ごしたい。
願わくば、あの頃の友達と共に。
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(´-ι_-`) 6時間掛かるのか⋯⋯( -ω- `)フッ
10/28/2024, 2:43:14 AM