「先生、今日もかっこいいですっ」
「なぁに突然。貴方普段俺にそんなこと言わないじゃない」
授業が終わって廊下を歩く先生の周りをぴょんぴょんと跳ねながらついてまわる。
先生も満更でも無さそうに頬を染めて困ったように頬をかく。
そんな反応されたら期待してしまう。
「言わないだけでいつも思ってますよ?」
「…あんまり大人をからかうんじゃありません」
咎めるような言い方に変わったあとおでこにちょんと優しく先生の指先がふれる。
普段テキパキと綺麗な丸をつける指先が私に触れた。
突然の事におでこを抑えてあ、とかうぅ…なんて情けない声が出る。
「まぁでも、貴方に褒められて悪い気はしないね。」
去り際に振り向いてボソリと呟いた。
廊下は授業が終わって教室から出ている生徒で騒がしかったが、私が先生の声を聞き間違えたり、逃すはずがない。
「せ、せんせい…っ!!」
先生に手を伸ばすがどんどん意識が遠のく。
代わりにピピピ…とぼんやり聞こえていた電子音がどんどんはっきりと聞こえるように。
ふっと浮上した意識のなか寝起きから頭は先生のことでいっぱいだった。
「かっこいい、って言ってみようかな…」
2023.12.4『夢と現実』
12/4/2023, 1:04:21 PM