どこかの人

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うちは齢六十五を超え

定年を迎えたおばあちゃんじゃ

若ぉ頃にどこぞのイケメンをとっ捕まえ

長年の交際の末結婚し

男の子を2人も授かってのぉ

昔はやんちゃでわしらもよく怒ってたのじゃが

今となっては真面目にばりばり働いておってのぉ

2人とも結婚しわしゃ孫を拝めることができたぁ

旦那さんも定年を迎え

ゆったりとした生活を送っておる

誰が見ても充実した人生なのじゃが

うちは定年してからひとつ志しとることがあってのぉ

世間は夢物語だと吐き捨てるじゃろうが

うちは富士山を登りたいと思ったんじゃ

ある日何気なくテレビを見ておるとのぉ

富士山の山頂で見ることのできる景色が映っておって

それがもうキラキラ輝いておってのぉ

うちはその場で立っておったわい

旦那さんにもそれを話すとなぁ

「わしも一緒に行こうかのぉ」

と言ってくれてのぉ

準備をしておるんじゃ

まるで夢見る少女のように心が揺らいでのぉ

こんな経験何時ぶりじゃろうか

うちは何を言われようとな

絶対にあの輝いた景色をこの目で見るのじゃ!



(夢見る少女のように)

6/7/2025, 2:37:42 PM