(あ……今、線ひかれたな)
柔らかな夕日の差し込む教室の中
さらりと笑って目を伏せる先生
少し手を伸ばせば触れられそうなくらい
近くにいるというのに
間に横たわるたった3歩程度の距離が
泣きたくなるくらいに遠かった
「お前なら大丈夫だよ」
頑張りな、とポンと頭に手を置かれる
「はい、先生」
滲む目元を誤魔化すように
にこりと微笑み返事をした
はい
はい、先生
いい子でいるから
絶対に間違えたりしないから
だからお願い
もう少しだけ
『距離』
/そばにいさせて
12/1/2023, 3:10:18 PM