とある恋人たちの日常。

Open App

 
「も〜ようやく見つけたよ!!」
 
 道に迷った恋人がヘルプを出してきたのは良いんだけれど、まさかのスマホの充電が殆ど無い状態だった。
 
 最後の最後まで使えるように、必要最低限のメッセージだけで彼女を見つけることが出来た。
 
 本当に焦ったよ。
 
 俺は救急隊として仕事をしていて、人探しも仕事のうちだったから、そのスキルをフル動員して彼女を探した。
 
 彼女が安心した顔をして、俺に迷わず抱きついてくる。俺も彼女の身体を抱き締め返した。
 
 人の目なんか気にするもんか。
 道に迷った彼女をようやく見つけたんだ。温もり含めて実感させて欲しい。
 それでも一分もしないくらいで身体を離した。
 
 そのまま彼女の手を取る。
 
「うえ!?」
「今日は、もう離さないからね」
 
 びっくりした顔をしていたけれど、すぐに満面の笑み。
 その顔はズルいでしょ。
 
 絶対にこの手を離してあげない。
 
 
 
おわり
 
 
 
三〇八、手を繋いで

3/20/2025, 12:32:51 PM