中学生から高校生になる頃、バイト先の年上のお姉さんを好きになった。よく同じシフトになったし、他のバイト連中も交えて色んな場所へ遊びに行ったりもした。
そんな彼女と、時々二人だけで会って遊びに行くようになり、かなり距離は縮まったと感じていた。
ある日、彼女に自分の気持ちを伝えた。今のこの時間が長く続きますように、そんな思いだった。
しばらく経ったある日、彼女が別れ際に一通の手紙をくれた。『恥ずかしいから家に着いてから読んで』と言われたので、帰宅してから封を切った。
書いてあったのは、『好きと言ってくれて嬉しかった。でも、私は君のことを彼氏とは思えない。弟みたいな存在なの。だから、これからもその関係を崩したくない。わがままかも知れないけれど、これ以上私に、優しくしないで。ありがとう。』
何とも言えない気分だった。
今までと同じように彼女、いや、お姉さんに接する事はもう、無理だった。少しずつ、何かが変わり、壊れていった。
やがて彼女はバイトを辞め、別の就職先へ。
結局、一度開いてしまった距離は、二度と元には戻らなかった。
あの時、あんな事を言わなければよかったのだろうか。
『優しくしないで』なんて言われたのは、後にも先にもあの時だけだ。
なんて残酷な言葉なんだろう
あの日、あの頃の僕には、重すぎた一言だった。
5/2/2024, 2:50:21 PM