《マグカップ》
朝の光が まだ柔らかい頃
私は 湯気をまとって
あなたの手におさまる
コーヒー、紅茶、ミルク
それが何であれ 私は知っている
それは 眠気を払うためじゃなく
心にひと呼吸を入れるための儀式
口をつけるそのたびに
言葉にならない思いが
少しずつ 冷めていく
割れることも 欠けることもある
それでもあなたは 捨てなかった
私は ただの器でありながら
あなたの静かな時間の一部だった
棚の奥にいても
ふとした日に また選ばれる
その無言の再会を
私は 待っている
6/15/2025, 11:57:38 AM