「部屋の片隅で」
この6畳のボロ家。隙間風に凍えて薄っぺらい布団に包まり、邪魔にならないよう部屋の隅に縮こまって母の帰宅を待つ。大抵は雑にドアを開けて、そのまま布団に倒れ込む。すぐにいびきが聞こえてきて、ようやく隣に寝転ぶ。たまに機嫌がいいときは塩っぱい焼きそばを作ってくれる。知らない男がやってくることもある。慣れた男は私のことなんて見やしない。初めての男は汚らわしいものを見るように睨む。仕事の顔の母と女の顔の母。この狭い部屋の片隅から見える薄っぺらい母の人生。それにすがるしかない私。ここから出ていく術を知らない
12/7/2023, 12:01:04 PM