かたいなか

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「14日投稿分の段階で『よし、15日投稿分はこうしよう』って決めてたのに、
まさかよりによって、18時投稿になるとはな」
12月頃に「ありがとう、さようなら」ってお題を書いたわな。某所在住物書きは時計を見ながら、
次のお題が残り40分で配信される事実に、大きなため息を吐いた。

書いては消し、消しては書いて、メシを食ってアイデアが詰まって消す。
納得いくハナシを投稿したい欲求と、早めに物語を投稿したい堅実さの、折り合いがなかなかつかない。
面倒なことである。

「『ありがとう』ねぇ」
ぶっちゃけ、最近言っていない。
「ありがとうねぇ……」

――――――

前回投稿分からの続き物。
最近最近の都内某所、某稲荷神社近くのおでん屋台で、真夜中に野郎1人がちびちびお酒を飲みつつ餅巾着など食っておったところに、

「やっと高葉井を図書館に転職させた理由を吐く気になったか。『付烏月』」
そのお酒ちびちびさんに、「この日のこの時刻、この場所に来て」と呼ばれた別の野郎が、なにやら意味深なことを言いながら、
「店主。こいつと同じものを」
おでん屋の店主さんからお酒を受け取りつつ、隣に座ったのでした。

「自分で予想してみたら?ルリビタキ部長」
「お前の考えなど分からん」
「分からないってことは、まだ無責任ってことだ」

「なんだと」
「ホントだもん。ウソじゃないもーん」

お酒ちびちびさんは名前を付烏月、ツウキといい、
付烏月に呼ばれた方の野郎はビジネスネームをルリビタキといいました。
そうです。前回投稿分の「図書館に現れるというルリビタキ」、実は激似のコスプレイヤーさんではなく、本物の御本人だったのです。

「ゲームに登場する人気キャラ」とは仮の姿。
ルリビタキは「この世界」の影にひそみ、「他の世界」からの密航者に目を光らせて、
その世界の独自性、独立性を乱す者を取り締まる、
「世界線管理局」の職員だったのです。

さてそろそろ、お題回収といきましょう。
「お前に課金してくれる高葉井ちゃんから、愛しの愛しのルリビタキ部長に、お届け物だよん」
前回投稿分で飴を受け取っていた付烏月です。
渡せと言われた本人に、飴が入った袋を渡します。

「飴?」
「『是非実際に会いたいから』ってさ。辛いの好きでしょ?気に入ったら会ってやりなよ。『ルリビタキにすごくよく似たレイヤー』として」
「はぁ」

まぁ、ひとまず、ありがとう。礼は言う。
ルリビタキは付烏月から貰った飴を一粒取り出して、光に当ててみて、ぱくり。
「ふむ」
最初の甘味を通り越すと、徐々に「超鬼殺し」の名前通りの激辛が、ルリビタキの舌をビシビシ刺します。
「うん。良い」
表情には出さずとも、なかなか気に入った様子。
販売元の確認を始めます。

「美味いの?」
あんまりルリビタキが辛そうな顔をしないので、
「実はそんなに、激辛じゃないとか?」
高葉井からルリビタキに飴を渡すように言われた付烏月、興味本位で1個、飴を口に放り込みます。
「ふーん……」

数秒は、甘いのです。
だってそれは、「飴」なのです。
「あっ、ア、ほあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
普通に激辛じゃん!痛いじゃん!
高葉井から「渡せ」と言われた飴を食ってみた付烏月、数秒たって押し寄せてきた「興味本位で食べないでください」の激辛に、
絶叫して、悶絶して、店主から貰ったお水で逆に轟沈しましたとさ。

2/15/2025, 9:26:07 AM