静寂の中心で
静寂は何処にあるのだろう。
休みの日で家の中にいても、
子供の遊ぶ声や車の音が聞こえる。
ノイズキャンセリングを使ってみても
性能の低いイヤホンじゃ全てを遮断してくれない。
作るとしたら防音室を用意するしかないのだろうか。
それすらも面倒だ。
静寂とはどんな場所だろう。
平安時代の寝殿造の縁側に座り、
朝焼けを眺めながら支度をした昔の人を想像した。
そんな贅沢、都会じゃ出来ない。
まだ仄暗い朝の時間からパトカーの音が通り過ぎる。
夜勤で働いているのだろうかと
無粋なことを思いながら
洗面所の水で意識をハッキリとさせた。
一人になりたい時は公園へ散歩するが、
そこにはご老人が座ってのんびりとしていて、
まだ若い僕には似つかない場所だった。
静かな場所だが、落ち着かない。
ドクドクと心臓が速くなり、
落ち着くために歩き続けるのが日常だ。
最終的には落ち着く家の中で、
ワイヤレスイヤホンを耳に付けた。
家族の話し声すらも聞き取れないほどに音楽を流し、
長い前髪でスマホの画面だけを見つめるように
顔を近付けた…ものの、
見にくかったから程よい距離でスマホを操作した。
スマホの充電もイヤホンの充電も気にしながら、
ボーッと好きな音楽をリピートしていた。
静寂と名乗るには音楽が邪魔をするが、
それでも、心が落ち着く。
10/7/2025, 10:44:07 AM