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見つめられると


じっ、と曇りのないような瞳だった。心の奥底を見透かすようなその目に居心地が悪くなって視線を逸らす。
自分を守るようなその行為が本当は違うことに気がついたのはきっと偶然だった。
その瞳を見るだけで、相手の機嫌だったり、感情だったりをわかっていたのは自分の方だったのだ。目は口ほどにものをいう、なんて言うけれど、それが理解できた瞬間、目を逸らしてしまいたくなるのはきっと相手の本心に気づいてしまうから、わかってしまうから。
それがどれだけ自分の心をすり減らせるのかをきっと無意識のうちによく知っていたのだ。だから、今日もその瞳から逃げるように目を逸らした。

3/28/2023, 2:28:55 PM