差し込む白昼の匂いがした
こういう日は何故だか、鬼灯を思い起こされる
何かを訴えるように、暗闇の中
それはずっと佇んでいる
幼い頃から、ずっと、ずっと
でも、手を伸ばすことはしないんだ
知っているから、無要だと
君は伽藍とした儘、
そこに居てくれるだけでそれでいいから
そのままずっと蝕んでてよ
この空洞を、心臓みたいに瞬きながら
仄暗い部屋に埃が煌めく
滝のような晴天が、素知らぬ顔で通り過ぎてく
そうだったな
一人ずっと、取り残されていたね
夏だなぁ
後ろの正面、玄関口で、誰かが憂う
7/14/2025, 1:49:16 PM