封じ込めてしまったドアを、そろりと開けた。
箱には何も入っていない。それでいい。、
私にしか見えないからだ。
「さあ、開けるわよ」
箱の中の更に中に入っていた小箱。
この箱の中から何が出てくるのか、持ち主の自分でもよくわかっていない。
開ける前に深呼吸を。
自分の見たくないものかもしれないものを開ける恐怖と言ったらない。
(でも開けなくちゃ)
私は、私の心の中の箱から飛び出した小さい箱を開けるために、深く深呼吸をした。
カチャリ、と軽い鍵の音がして箱は開いた。
/11/27.『心の深呼吸』
「もしもし、聞こえますか?」
「もしもし、聞こえますよ」
真っ暗な世界で、その白い糸だけは見えるという。
片方の筒に口元を当て、片方の筒に耳を当てる。
あちらとこちらを繋ぐ糸(せかい)。
「どうですか、お元気ですか?」
「お元気ですよ。そちらはどうですか?」
「僕もお元気ですよ」
子どもたちは糸電話で彼らの世界を繋いでいふ。
こそこそと大人に秘密の会話でもしているのだろうか。
どうか声を大きくしすぎて秘密が聞こえないようにね。
/11/26『時を繋ぐ糸』
11/27/2025, 2:31:45 PM