「〝夢〟がタイトルにつく歌って多いよね」
彼女はそう言って空を見上げた。
低く重く広がる濃い灰色の雲は、今にも雪を降らせそうだ。彼女はそんな空の色を歓迎するかのように唇の端に笑みを浮かべて、「クソみたいな世界に、みんな何を期待してるんだろ」とあまり綺麗でない言葉を吐いた。
「あなたは何か夢は無いの?」
私の言葉に彼女は振り向いて、ニカリと白い歯を見せる。
「寝て見る夢は別にいらない。現実の夢は·····一つ一つ叩き潰してしまいたくなる」
彼女の目が微かに伏せられた事に、気付いたのは私くらいだろう。私は彼女に近付いて腕を差し出す。
「私の夢はあなたの願いを叶えることだよ」
彼女は一度瞳を大きく見開いて、そして小さく肩を竦める。
「だったら·····ここにいる連中みんな××してみなよ」
私は彼女を見つめ、満面の笑みで応える。
「いいよ」
彼女の夢が私の夢。
彼女が夢を見ないというのなら、そんな彼女のありとあらゆる願いを叶えてあげるのが、私の夢だ。
END
「夢を見てたい」
1/13/2026, 4:20:01 PM