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『あなたのもとへ』

このお題を見て、最初に頭に浮かんだのは大江賢次原作の『絶唱』という映画だった。山口百恵&三浦友和主演。

映画の冒頭は、厳かな結婚式。
夜に行われるそれは誰も口を開かず、静々と、どこか薄暗い。

物語はこんな感じ。
大地主の御曹司・順吉と山番の娘・小雪が身分違いの恋に落ちる。
大反対を振り切って駆け落ちした二人だが、やがて戦争が始まり順吉は戦地へと送り込まれてしまう。
帰りを待つ間に小雪は病に倒れ、戦争が終わって帰ってきた順吉の腕の中で息を引き取る。
順吉は実家へ戻るが、そこで小雪との結婚式を挙げるのだ。

そう、映画の冒頭で映し出されていたのは順吉と亡くなった小雪の結婚式。冥婚だった、というのが最後に分かる。
だから皆あんなにも涙していたのか。
祝言だというのに喜びに沸く様子もなかったのか。

で、映画の中ごろ、順吉と小雪がまだ幸せな恋人同士だった時、野山を自由に走り回る小雪に順吉が言う。
まるで山鳩みたいだ、と。
自分に会いに山へ来てくれた順吉を見つけて駆け寄る小雪は、溌剌としていて小鳩のようだった。

それがやけに印象に残っていて、今回のお題を見て、小雪の台詞のように感じたのかもれない。

1/16/2025, 7:49:35 AM