かなで

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一筋の光


幼稚園の時、おゆうぎ会で七匹の子ヤギの劇をすることになった。
私は子ヤギの役で、オオカミさんにだまされ食べられちゃって、その後オオカミさんが猟師さんに懲らしめられ、最後に子ヤギ達が草むらからピョンピョンと飛び出てきて、エンディングという流れだったと思う。
(まあおなかを切って、子ヤギを出すという描写にはできなかったんだろうな…)
毎日毎日劇の練習をして、両親が見に来る事も楽しみで、家でもピョンピョンと飛び回 わっていたっけ。
ところがおゆうぎ会当日。私は熱を出してしまい、薬でなんとか解熱したものの、劇の最初には間に合わなかったのだ。
最後のシーンだけでも出してあげたいと
親も幼稚園側も考えてくれて、最後の草むら から飛び出す場面だけ出られることになった。
先生に案内され、暗闇の中ダンボールの草の裏に隠れる。周りが見えない怖さも緊張も手のひらの中にギュッと閉じ込めて。
間もなくステージがスポットライトに照らされて、子ヤギ達が順番にピョンピョン飛び出していく。
自分の番になりピョンと力一杯飛び出した。その時の上から差し込んだ光を私は今でも憶えている。客席の両親の笑顔と共に。


かなで






11/5/2022, 11:03:57 AM