—新年の挨拶—
「うげっ」
スーパーで買い物をした帰り、近所のクソガキと遭遇した。
毎日ギャーギャー騒いでおり、生意気な態度が目につく奴だ。新年早々運が悪いな、と俺は思った。
「おじさん、あけましておめでとうございます」彼は丁寧に頭を下げた。
「あ、あけましておめでとう」
この子が敬語を使うところを見るのは初めてだった。佇まいもまるで別人のよう。
年が明けて心を入れ替えたのかもしれない。
「どうぞ、頑張って作りました。受け取ってください」
「ありがとう……」
彼はクッキーが入った袋を差し出した。
そのまま黙り、じっとこちらを見つめている。
「どうしたんだい?」
「おじさん、お正月と言えばなんですか?」
その時、ハッと気がついた。
クソガキが何故、こんな礼儀正しいのかということに。
「『お年玉』かい……?」
クソガキは黙って何度も頷いた。
正月だし、クッキーを貰ってしまった以上は仕方ないと思い、財布から千円札を抜き取って渡した。
「……はい」
「やったー!やっぱりおじさんはチョロいと思ったんだよな!」
そう言いながら、走ってどこかに行ってしまった。
やっぱり人はそんな簡単には変わらない、と改めて思った。
お題:新年
1/1/2026, 11:42:49 PM