美しい国
あるところに、美しい国があった。
華々しい都、豪奢な建築物、目鼻立ちの素晴らしい天女のような人々しか存在しなかった。
この話を聞いたある村人は、不治の病にかかっており、死ぬ前にその国を一目見ようと旅に出た。
病が悪化して、
たどり着かないだろうと考えていた村人だが、
目的があったのが良かったのか、
美しい国に辿り着くことが出来た。
案内などおらずとも、そこが美しい国なのが村人には分かった。ある境目から、草花までもが水晶のような光を帯びて、額縁に収まるべき輝きを放っていたからだ。
村人はあまりの美しさに圧倒され、
迷い込むように国に入り込んだ。
森をかき分け進んでゆくと、
集落のような場所に行き着いた。
村人は、そこに美しい人々が暮らすのを見て、
そこで力尽きて倒れてしまう。
美しい国を見るという夢を叶え、
とうとう病が、彼の身を奪おうとしていた。
彼は幸いにも目を覚ました。
薄い絹の柔らかい布団の上に寝かされていた。
彼の故郷では柔らかい布団などはなく、
藁の上に布を引いて眠っていた。
柔らかい布団で寝るのは領主様だけだった。
このため、何か罰されるのではないかと不安になり始めた矢先に、部屋の扉が開いた。
驚いている村人に、入ってきた人が驚いた顔を見せ、
「お客さんが起きてるわ!」
と大きな声で叫んだ。声からして、女の子のようだった。あまりにも美しい顔立ちのため、年齢が分からないほどだったのだ。彼女の声に反応したのか他にも数人やってきた。どうやらここは2階らしい。
最も身長の高い人が話しだした。
「こんにちは。驚かれたでしょう。貴方は村に入ってきてすぐに倒れられたんです。」
「なので私たちが代表して家で手当をいたしました。」
「特に変わったことはしておりません。お荷物もございますので、確認していただければ。」
村人は、さらに驚いた。3人が続けざまに話し始めたからだ。まるで、ひとつの脳を共有しているかのように。
「おや、さらに驚かれましたか。」
「外からこられた方ですからね。」
「私たちは、ひとつなのです。」
なにが、と村人が聞いた。
「私たちは全て、同じものなのです。」
理解が追いつかない村人はその時、
彼らの容姿が年齢と性別の異なる双子のように
そっくりなことに気がついた。
1/16/2026, 3:04:45 PM