谷折ジュゴン

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「静寂に包まれた部屋」

雨に佇む。聞こえるのは胸の鼓動と雨の音のみ。

そこはあたかも静寂に包まれた部屋のごとく。

僕の心の灯火は、弱い通り雨のような

些細なことでも消えてしまう。


空が泣く。本気の恋と勘違いした苦い香水の香りも

君との予定で埋まったカレンダーも全部洗い流す。

君の心が世界に一つだけではないことを忘れ

突然の君の訪問に僕は踊るように浮かれていた。

時間よ止まれとは言わない。

でも、あの頃の夜景は綺麗だった。夜明け前の

小さな窓から見える景色全てが鮮やかだった。


目が覚めるまでに君の声が聞こえる気がした。

愛する言葉はいらない、ただ……

形のないものを掴むように君を求めてしまうのだ。


君が別れの時を告げる。

不完全な僕はまだ、涙の雨に佇んでいる。

9/30/2024, 3:15:02 AM