「きーらきーらひーかーる、おーそーらーのほーしーよ・・・」
今にも消え入りそうな声で、腕の中の彼女は歌う。
コロコと星が弾けて一瞬で消えていくような、綺麗で、刹那的な思いを感じさせる、物悲しい歌を。
「ああ・・・『お家』にかえりたいなぁ・・・」
ありったけの望郷の思いを載せた言葉に、私は彼女を抱きしめている腕に力を込めることでしか答えることができない。
再び彼女の歌が、あたりに響く。
聞いたこともない歌で、共に歌ってあげることもできない。
彼女もそれを望んでいるはずがない。彼女が、私が共に歌うことができない、故郷の歌を選んでいることが何よりの証拠だ。
私はそんな彼女の顔も見れず、星空を共に見上げることもできず、ただわずかに先の地面を睨みつけることしかできなかった。
それは、元の世界に戻る手段を奪われた迷い子と、迷い子を愛するが故に帰る手段を奪った男の終着点。
4/5/2024, 9:15:14 PM