出番まであと1分。
胸が高鳴るのを抑えきれない。
そわそわして何度も腕時計をチェックする。
何度も推敲を重ねたカンペも念入りに確認。
それでもやっぱり手足の震えは止まらず、胸はより一層高鳴るばかりだ。
前の出番の人の声が聞こえなくなった。
いよいよ僕の出番だ。
未知の世界に足を踏み出す。
自然と手足の震えが止まり、表情のこわばりがとけた。
さっきまであんなに震えていたのに私は別人のようになった。何かが憑依している。ああ、気持ちいい。
この快感は何事にも変えがたい。
もう一度味わいたい。
3/19/2024, 9:34:03 PM