ゆかぽんたす

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高校3年間ずっと仲良しだった子がいた。どこに行くにも何をするにも学校以外でも、家族以上にその子と一緒にいた。けどそろそろ進路を固めなくちゃいけない季節になって。あの子は就職、私は進学の道を選んだ。初めて、進む道が違うことになった。それを知った時はなんだかちょっと寂しかったけど、“お互いがんばろうね”ってあの子が笑うから。私も負けてらんないな、夢を叶えるために頑張らなくちゃなって思えた。その辺りから、あんなに一緒だったのになかなか遊べなくなってしまった。こうやって、次の春には話も気軽に出来ない距離になってしまうのか。それを思うと急にとてつもない寂しさに襲われた。

そんなモヤモヤを引きずりながらも私は無事に第一志望に合格し、あの子も希望していた職種に就くことが叶った。お祝いしよう、と言われてファミレスに行った。よく学校帰りにここに来てはドリンクバーでねばってたっけ。そんな昔話も交えながら久しぶりに一緒にご飯を食べた。それが高校生でいる間の最後の2人の思い出だった。

その後あの子は上京した。私が思った通りの、簡単に会えない状況になってしまった。だけど不思議と寂しくはなかった。今生の別れじゃあるまいし、今は電話もメールもある。会おうと思えば会える距離だからっていうのもあるかもしれない。でも何より、お互いに夢を叶える一歩を踏み出せたという事実が寂しさを打ち消してくれているんだと思う。
あの子が東京に行く日に駅まで見送りに行った時、“私たち前に進んでるよね”って嬉しそうに私に言ってきた。泣いてる暇なんかないよ、って言われた気がしてお陰で涙が引っ込んだ。そうだよね。別れを惜しんでる場合じゃない。前に進まなきゃ。寂しい時、気持ちに迷いが生じそうな時、いつもあの子は私を励ましてくれた。大好きな最高の友達。だから、離ればなれになったなんて思わない。どんな場所にいたって、ずっとずっと友達であることに変わりはないんだから。

11/16/2023, 11:01:30 AM