【涙の理由】
金髪のヤンキーが家庭科室から出てきた。
眉間に皺を寄せながら
『しょっぺぇ』
の一言を言いながら俺の横を通り過ぎた。
ちょっと気になり家庭科室の中を
見回してみたら
他とは違う配置に
ゴミ箱らしき物が目に入り
中を除くと
紙皿が何枚も積み重なり
その中には形を保ったままの
おにぎりが散乱していた。
「勿体なっ!!」
と、大きな声で言ってしまったのが
つかの間だった。
ヤンキーが俺の事を見ている。
見つかった。いや...最初から見ていたのか。
近づいてくるヤンキーに
俺は咄嗟に頭を守った。
先に口を開いたのは
俺だった。
「な...なんで
手作りのおにぎり捨ててるんだよ!」
数秒間 沈黙の時間があった。
『逆に聞くけど知らねぇー
人の手作りおにぎり食えるか?』
「食えるっしょ!!
よく、夏の部活の時とかに
塩分マシマシのおにぎりとか
友達の親とかに作ってもらってるぞ!?」
『それは部活同士での
親だからだろ??』
「だけど俺からしたら
知らない人とかになるじゃんか!」
『本当に知らない人なんだぞ
朝起きたら、机の上に
おにぎりが1つ置かれてる状態』
「へ...?」
『絶対手作りなのは分かる。
けれど、俺には小学生の妹しか
いないのに 綺麗な三角形の
おにぎりが毎日置かれてるんだ。』
「い...妹が作ったとかは?」
『炊飯器まで手が届かねぇーよ』
「じゃ...じゃあ誰が...!」
ーープルプルーー
知らない着信音が
家庭科室へと響いた。
『もしもし...うん
え...?あぁ...分かった
先生に言って休めるか聞いてみる。
じゃあな...』
「急用...?」
『いや...今さっき
母親が息を引き取ったぽい』
「えぇ!?病院行かなくていいの!?」
『別に...あ!あと
その おにぎりのこと
さっき祖父の電話で聞いた。』
「おじさんが知ってたの?」
『あれは母親の手作りで
冷凍されてたのを妹が
電子レンジで温めて机の上に
置いてたらしい。』
「そうだったんだ...」
『だから しょっぱかったのか!
事件、解決!解決~!』
「違うと思うよ...?」
『どういうことだよ』
「多分、味付けしてないんじゃ?」
『味付けしてねぇーのに
しょっぺぇって思えるのは
流石に無理すぎだろ』
「だって君。
食べながら泣いてたよ。」
『え...?』
「俺の推測になるけど
君の涙が おにぎりについて
しょっぱかっただけなんじゃないの?」
『俺が...泣いてた...?』
「毎日泣いていた。
毎日しょっぱかった。」
ヤンキーが唖然としているのを
横目に もう1つ発言をした。
「君が食べてたのは知らない人の
冷たいおにぎりじゃないんじゃない?
それは、母親の愛情が詰まった
暖かいおにぎりのはずが
君の涙でしょっぱくなっただけの
過ぎない話だったりしない?」
『っ...ふふ!!
それもそうかもな、、!!』
なんで笑ってるのか
俺にはさっぱりだった。
『ありがとな!
どっかの知らない誰か君!!』
「工藤だ!!」
『おっと!名探偵の?』
「たっく...早く先生のとこ行って
休みの許可貰ってこい!!」
『はいはーい...っと
あと、君も休む?』
「何言ってんだよ
そんなのサボりじゃんか」
『しょ...紹介したいんだよ
俺の初の友達って...さ』
「!?」
『強制はしねーけど!!』
「ふはっ!しょうがないな!!
俺の友達の頼みならば
聞かないわけないか!!」
『お前っ!!サンキューな!!』
「お前じゃない!工藤!!」
『工藤!よろしくな!!
俺の名前 よしき!』
「いい名前貰ってんじゃんかよぉ!!」
『うるせぇー!!
職員室行くぞ!!』
「ちょっ!待てよ!!よしき!!」
あの
おにぎりのおかげで
俺は新しい友達が増えたことを
手を合わながら伝えることにした。
俺、おにぎりで好きな味が
梅が好きなんですけど
ツマナヨ好きの友達に言ったら
文句言われました...w
皆さんは、好きな味ありますか?🤔✨
9/27/2025, 1:13:00 PM