ひたり。って、手を繋いだときに肌がどこか遠く思えたんだ。貴方の胸の内がひどく脈打つように、忙しなくて、暖かくて。馴染まない肌の体温が、足し引きされていく時間が少し気障しかった。
愛しさを不法投棄して、どこへでも遠くへいこうよ。手綱を握ってくれる人からどうか離れていこうよ。一途さを神聖化して、見えなくなったものばかりじゃんね。逃げてほしいよ、笑っていてほしいよ。少なくとも許せていてほしいよ。飲み込まなくちゃいけないの?このエゴも、貴方のエゴも。
今も思い出せるんだけどさ、額に髪が張り付いていたね。貴方の胸中みたいに、物言わなくなった手と手。この手に吸い付くみたいだ。いつもみたいに、一人みたいだ。いつかみたいに貴方のいない、不完全な孤独に遭った。貴方に牙を剥く未来を、強く信じていたんだね。今は冷えていない体温を、懐かしく思うよ。
10/31/2023, 12:16:49 PM