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きらめき


高級宝飾を前に身震いしそうになる。
これが似合うって言われないといけない。

立ち居振舞い、話し方、所作に礼儀作法、ダンスにって
なぜ、こんな宝石のために努力しないといけないのか?

お祖父様は柔らかな眼差しで私を見ると壁にかかっている肖像画を指し示す。

見てごらん。誰もしっかり前を見ているだろう?役割をわかっているからだよ、

役割?この宝石と何か関係があるのですか?

宝石?関係ない。これは比喩だ。民の暮らしに役に立つ時は金に換える時だろうな。
お前はこれの為に勉強や研鑽をしているのかね?

これに似合う必要があるんですよね?

お祖父様はやれやれと私に首を振った。

宝石など石だ。キレイなだけ。使う人間次第だ。
お前は若い。宝石にない若さの煌めきがある。生命だ。
足りない事を勉強し、研鑽しているのだ。そして、経験が必要だ。人との付き合い方もな。
この先、私の後を継ぐとは宝石には関係ない。
施政者とは孤独で全てを背負う事だ。
楽しみなさい。今を。この先心の糧となり守る為に。
行きなさい。今、思っている事が正しいのか確かめに。
それまで待っていよう。

お祖父様は隠して置いたバッグを見る。
外のきらめきが本物か知る為に、身分を隠して行けと背中を押す。
その瞳はイタズラっ子のように光っていた。

9/5/2024, 3:30:17 AM