謎い物語の語り手

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【日の出】

「馬鹿みたいな人生だった」
虚空に消える、すっかり口癖になった言葉。

健康な生命体たる自分の身体は自死を望まない。
でもきっと終わるだろうと希望的観測で生きてきた。

ずっと真っ暗な道を、遠くに見える死という光を追いかけて歩いてきた。全部終わる前提で創った道だった。

今、私は恵まれた環境に生きていて、それに気付いている。眩しすぎた光の中にいるのか目が見えないほどに。

笑うことも、泣くことも、怒ることも、恨むことも、慕うことも、慈しむこともできるのに、

私の心は晴れることなくずっとずっと虚しい。

そして、皆はそれを「貴方はまだ大丈夫」と言った。

私を幸せにしたい人達が大勢いてくれる。
「不幸な自分より幸せということにしたい」人達が。

分かってる。誰よりも私が一番。過去は見なくていい。
私の想いも、彼らの考えも全部一方通行だし。

ずっと、ずっとこのまま生きていくのだろう。
心の奥がずっと空っぽで、真っ暗な景色を見て。

そこに日の出を見ることも叶わないまま。

1/3/2025, 11:34:36 AM