「そうめんってどこにしまったっけ?」
言いながら、真珠が食品が入っている棚の奥をがさごそと漁っている。しばらく食べてないから奥の方だろ、と声をかけるとまもなく、「あった!」と宝物でも見つけたような声で叫ぶ。たかがそうめんに可笑しさが込み上げて、ふはっと笑ってしまった。
「まだ早くないか、そうめんは」
「ええー、だって暑いし。五月だし! うちは五月になったらそうめん解禁なんだよ」
「去年も言ってたろ、それ」
自分の言葉にはたと気づく。こうして生活を分かち合うようになって、もう一年経つのだということに。はじめはくすぐったかった「おはよう」や「おやすみ」が、当たり前になったのはいつ頃からだろう。
たぶん来年も言うよ、おれ。そう言いながら鍋を用意する真珠の背中を、なぜか抱きしめたい気持ちをぐっと抑えた。
5/8/2026, 12:50:07 PM