郡司

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写真を撮らなくなって何年も経つな、と思った今日のお題。個人的には順光の方がきれいに撮れるからそればっかりだったと思い出す。

「逆光」状態が気にされるのは写真だけじゃなかった記憶がある。実家は化粧品屋をやっていた時期があったから、シーズンごとに新しい色が出て「実際に使うとどうなのか」が試されていた。そんなときによく聞いた言葉が、「そっち座らないでこっちよ。逆光になるから」だった。確かに、化粧は逆光じゃダメだ。屋外の光か、屋内で蛍光灯の下で過ごすのか、あるいは暗めの照明なのか、どんな光の場所が主な活動の場なのかで、適切な色の使い方や顔の描き方が違う。自分で化粧するにしても、誰かの顔に化粧をするにしても、ちゃんと光が当たらないと人肌にのる色のニュアンスを掴めないのだ。新色の研修というとき、そこにいた女性達は仕事でそこにいた。昔だったから、自立心の権化みたいな、綺麗で迫力のある人が多かった。

化粧の魔法じみた視覚効果は、光があってこそのものだ。逆光のとき、暗めのトーンをのせている肌の場所はくすんで見えてしまうし、光の反射を利用して立体的視覚印象を狙ってる場所も「魔法が無効」になってしまう。じゃあ彼女たちは何かの花みたいにいつも光の方を向いていたかというとそうではなかった。ひとりひとり、その雰囲気自体が彼女たちの「綺麗の迫力」の本体だった気がする。順光だろうと、逆光だろうと、「勝負ドコロは化粧じゃない部分」だったんだろう。

逆光のシルエットが表情豊かな写真も多い。遠くからだったり、逆光だったりの写真の方が、物語を色濃く放つ気がする。

1/24/2024, 3:04:33 PM