リオ

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「澄んだ瞳」

 幼い頃の純粋で素直な思考も綺麗な物を映す澄んだ瞳も大人になれば全て消えてしまった。純粋で素直な思考は出来なくなり、忖度と相手の顔色を伺いながら毎日を過ごしているし澄んでいたであろう瞳はすっかり濁り、醜いものしか映さなくなってしまった。公園のベンチに座り、一人ため息をこぼす。重苦しいそれは蝉の鳴き声と少年少女らの足音によってかき消された。
 自分にもあんな頃があった。真夏だというのに朝から友達と外でひたすら駆け回ってはしゃいで服や靴を汚しては母親に怒られた日々。今ではもう周りの視線ばかりが気になり、そんなことは出来なくなってしまった。

 あの頃に、戻りたい。

7/31/2024, 2:59:27 AM