「枯葉はただ朽ちるだけではない。土に落ち、それが微生物に分解され養分と化し、新たな生命を生む。一見不要に見えて無くてはならぬ存在なのだ」
それは、と確固たる口調でぼくに言った。
「君も一緒だよ───少年」
先輩はそろそろ卒業だ。あの時、ぼくを救うあの言葉がなければ今頃こうして先輩を見送る事すら出来なかっただろう。いじめによって、不登校となり自室に引きこもるだけだったぼくを連れ出してくれた。
彼女が生徒会長だからでは無い。きっと彼女の本質が、ぼくを再び歩き出させてくれたのだ。
すっかり葉が落ちた寂しい木々。でも春になれば、秋に落とした枯葉のおかげで桜が満開に咲く。去り行く先輩の背中に、ぼくは"決意"を口にした。
「後は任せて下さい、先輩」
「ふっ……そうだな。頼んだよ、"次期生徒会長"」
2/20/2023, 2:53:32 AM