世界では今、エネルギー不足が叫ばれております。
今のエネルギー供給の主力は火力発電ですが、環境への負荷が問題ですね。
その問題を解決すべく、原子力発電が注目されていますのはご存じの通りです。
原子力発電は、火力発電と違って環境負荷が少ない!
CO2削減、安定した大量のエネルギーの供給……
様々なメリットがあります。
その一方で、デメリットも無視できません。
核廃棄物や作業員の健康被害。
福島の事も無かった事には出来ません……
あちらを立てればこちらが立たず。
人類の未来を憂う皆様方も、夢と現実のギャップで苦しんでおられることでしょう……
ですがご安心を!
そんな皆様何に、全ての問題を解決する革新的なアイディアを用意しました。
それは人間が、夢が破れたて絶望する時に発生する負のエネルギーを活用するといものです。
意味が分からない?
これから説明いたします
まず、人というものは、夢を見なくては生きてはいけません。
いえ、物理的には存在できますが、死んでいるとの同じ意味という事です。
お聞きになっている皆様も、夢に溢れた若い頃は世界が輝いていた事でしょう。
夢を見ることで、人間は人生を楽しく過ごすことが出来るのです。
しかし、いい事ばかりでもありません。
それは夢を叶えるのはほんの一握りということ……
大多数が夢破れるのです……
それは不幸な事で『こんな思いをするならば、夢なんて見たくなかった』と思う人もいるでしょう……
そしてそんな思いを抱えながら、みじめな人生を送る人たちも少なくありません。
そして夢と現実の差が大きいほど、絶望の度合いも大きくなります。
そして私は見つけました。
人間が絶望する時に、ある種のエネルギーが発生することを……
そうです。
私が提案するのは、『人を絶望させることで、エネルギーを得る』というものです。
これならば環境負荷をゼロにすることが出来ます
さらに!
実験の結果、若い人ほど大きなエネルギーを発生させることが分かりました。
よって、若者を計画的に絶望させることで、安定したエネルギーを得ようというのが私の提案です。
心が痛むかもしれませんが問題ありません。
エネルギー問題で一番困るのは未来の若者です
幸福な未来を送るために、若者が人柱になるのは非常に理に適った方法。
これで、若者には輝ける未来が到来します!
ここに試作品があるのですが――
え!?
『お前、人の心無いのか』、『絶望前提で夢を見させるなんて、残酷すぎる!』ですって!?
なんてこと言うんだ!
人類のエネルギーの問題は、早急に解決すべき重大な問題!
ずべこべ言っている場合では――
なに?
『ガキは帰って寝てろ』だって!?
若いからって、バカにしやがって!
今解決しないと、それこそ若者に、私たちは夢が見られないんだ。
そのために多少の犠牲はやむを得ないだよ!
くそ!
凡人どもめ!
なぜ理解できない。
この崇高な発明が!
『可哀そう』なんて何の意味がある!
犠牲失くして問題が解決できるものか!
くそ、このままじゃ、バカたちのせいで何もできやしない!
私はこの発明で世界を救うのだ!
なのに誰一人として救えないではないか!
このままでは、私の夢が叶わなく――
ん?
試作機が動作を……?
どんどんエネルギーを吸収して……
……
…………
えー、みなさん。
お知らせがあります。
えー、私が絶望した結果、莫大なエネルギーが溜まりました。
エネルギー問題は解決しました。
私、思っていたより若かったようです。
ご清聴ありがとうございました。
世界を救った、五歳の天才科学者の演説より。
12/5/2024, 1:39:00 PM