すきとおったもの、澄み渡るもの。冬の海は、その代表ではないだろうか。どこまでも鋭利で、どこまでも冷たい。ひとたび指先をくぐらせると、凍ってしまいそうだった。浜辺に靴を並べて、足を海水に沈める。服はそのまま、濡れることも気にせずに足を進める。水の中で舞う小さな砂粒がくすぐったい。「怖い?」隣の彼が尋ねる。怖くない、と言えば彼は手を繋いで足を深いところに沈めて進む。もうすぐ、互いに愛し合ったまま透明になれる。
3/14/2025, 4:34:20 AM