空に向かって
「綺麗…」
私の黒い瞳の奥には君がいた。
ステージの上で輝いている君。
辛い日々を生き抜いて、諦めそうになっても
光を目指して空に向かって羽ばたいている君。
そんな君を見て私は憧れた。
そんな君を見る私は涙した。
ほんの少し前の出来事。私がステージに立った
ところで誰1人見向きしてくれなかった。仲間達
よりもっと主演より人一倍頑張って稽古したはずなのに。誰も私を見つけてくれなかった。
(君は私とは違うんだね…)
そう思っていた時、憧れていた君に、大好きな君に4万人という沢山のファンがいるなかで私を見つけてくれた。私の暗がる目を見て手を振った。
君が私を見つけてくれた。
まるで「よく頑張ったね」と言ってくれたように
優しい目で見つめてくれた。
「うん、私頑張ったんだよ。3ヶ月前に君と
会った時から凄く頑張ったんだ。本当に1人だった人生を変えたんだよ、仲間もできたんだ。
だから…」
今度は君みたいに皆を魅了する舞台を作りたい。
部活が続く5年間で絶対君みたいに観客を楽しませてみせるよ。
もしそれを達成して私が空に向かって羽ばたける
力を手に入れた時はまた君が私を見つけね。あの時とは違う私を見せてみせるから。その時まで、
さようなら――すとぷり――
4/3/2025, 12:27:25 AM