黒神

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俺はまさに今いじめの現場を目撃している
クラスの1軍のやつらが誰かを囲って罵詈雑言や暴力を浴びせている
よく目を凝らしてみるとそれは俺の幼馴染だった
気が優しく力もある彼は何故抵抗しないのだろうか
一方俺はクラスでも目立たない3軍男子
気も頭も弱くいついじめられてもおかしくない
でも俺はこのままあいつを無視して良いのだろうか……
あの中に入ってしまったら俺なんか死んでもおかしくない
でも幼馴染との思い出を無視する事は出来ない
あの日々を捨てる事は出来ない
俺は動かない脚を思い切り叩きよたよたと走り出した

────

体中が痛い
案の定俺は完膚なきまでに叩きのめされた
だがその時、蹲っていた幼馴染が震えながら立ち上がった

気が付くと俺は保健室のベッドに横たわっていた
ふと横を見るともう一つのベッドから幼馴染がこっちを見ていた
「いじめられているやつ助けるといじめられるぞ、俺みたいにな」
正直こいつはいじめとは程遠いと思ってたがそういう背景があったのか
「何で抵抗しなかった? お前ならあいつらぐらい──」
「抵抗したさ、お前がやられてるのを見てな。力は何かを守る為に使うと決めているんだ」
「俺……お前の事助けられなかった……結局何も出来なかった……」
「それで良いんだ、俺は嬉しかったぞ」
幼馴染への友愛で何が出来たかと言えば何も出来なかった
助けたい、そう思ったが気付けば俺が助けられていた
だが得られるものはあった
俺達は頭を小突きあいながら家へ帰った

またお前がいじめられてたら俺は助けに行くからな何度でも何度でも

Title¦愛があれば何でもできる?

5/16/2022, 12:55:00 PM